|
|
「十木の御詠」の虚実
戦国時代の武将・細川藤孝(号・幽斎)は秘伝とされる『古今伝授』を例外的に継承しています。その幽斎が『十木の御詠』という次のような十種類の木の名を読み込んだ歌を残しています。
必ずと契りし君が来まさねば
強ひて待つ夜の過ぎ行くは憂し
か 楢 ず 栃 桐 樒 柿 まさねば
椎 て 松 よの 杉 柚 桑 うし
『十木の御詠』に表された「十種類の木の名」を、含まれる順に蛇行状に並べてみました。

|
なと
らち
楢栃 しき
樒桐 きり
柿椎 みし
杉松 かひ
柚桑 きま
すつ
きく
ゆは
|
慣らし君 禍機 過ぎゆ
と契りし暇尽くは
ならわしの君が 災いの兆しが過ぎてから
と約束し 暇が尽きた
『古今和歌集』に関する公家の秘伝の流派の一つであった三条西流を、一時預かりとして三条西実枝から伝承した幽斎が、後陽成天皇の弟である智仁親王に伝授を行っていた時に関ヶ原の戦が始まります。幽斎の討ち死にで和歌の伝統が途切れることを恐れた後陽成天皇の勅使により、幽斎は籠城していた城から逃れ、戦後に智仁親王への伝授を再開し、無事完了させます。
「君」とは、この智仁親王のことを表わしているのかもしれません。
---
『十木の御詠』にみられる「蛇行法則」が何を意味するのかと考えを巡らせ、「蛇行法則」は「惑星の逆行」を表わすのではないかと推察しました。惑星の逆行とは、天空における惑星の見掛け上の位置が、他の恒星に対して逆の方向へ移動しているように見える現象のことです。
この「惑星の逆行」の時期に、歌に表された「事象」が起きたのではないかと推察しました。
実際に、『古今伝授』が行われた年代の惑星配置を、Stella Theater Proというプラネタリウムソフトを使って、時代をさかのぼって再現してみました。細川幽斎が智仁親王に古今伝授を開始したのは慶長五年三月十九日(西暦1600年5月2日)ですが、それよりも時期の早い慶長四年十一月十五日頃〜慶長五年二月一日頃(西暦1600年1月1日頃〜3月15日頃)に、火星がしし座からかに座にかけて逆行していることが判明しました。
「災いの兆し」とは、この火星の逆行のことを表わしているのかもしれません。
---
<参考図書>
・ 暗号 山上憶良 http://www.geocities.jp/yasuko8787/
・ 歴史読本 細川幽斎と明智光秀 新視点・本能寺の変 新人物往来社 2000年8月号
・ Stella Theater Pro Version2.66 Toxsoft 2008年
・ Newton キトラ古墳で発見された古代の星図 1998年7月号
・ 【換暦】暦変換ツール https://maechan.net/kanreki/
・ Wikipedia
---
戻る

|
|