最終更新日:令和元年8月9日








次回 「立冬投句箱開き」は令和元年11月8日(金)に行います
境内を吟行していただき、ふるってご参加ください。






ご馳走さま(ごちそうさま)
 「ご馳走さま」というと、いまでは食事のときの言葉と思われておりますが、その文字を考えると、どうしてそんな言葉になったのか不思議に思いませんか。
 馳走とは馬車を(はや)くかけ走らせるとか、年月が走るように過ぎ去るといういみです。古文書(こもんじょ)に出てくる馳走は、だいたいそのような意味で使われています。これが、人をもてなす意味に用いられるようになったのは、日本だけの、それもかなり時代が下がってからのことらしいのです。
 もちろん、食事を用意するためには材料を求めたり煮炊(にた)きをしてかけまわることから、食事などのもてなしをする意味に変化したのでしょうが、その意味に変化させる日本人の心を考えてみましょう。お坊さんは食事の時おとなえごとをしますが、その五観(ごかん)()の第一に「(こう)の多少を(はか)り、()来処(らいしょ)(はか)る」という文句があります。これは「多くのおかげを思い、感謝していただきます」と現代風に言いかえられていますが、この心が「ご馳走さま」の心ですね。
 ご馳走さまだけではなく、お世話さま、ご苦労さまなど、日常よく耳にする挨拶(あいさつ)言葉はその多くが、相手の立場に立ってその労をねぎらい感謝する言葉です。日本人の美しい言葉としては、まず「ありがとう」が第一にあげられるそうですが、これらもありがとうにおとらず美しい言葉(・・・・・)と言えるでしょう。
 自分が多くのおかげをいただき、生かされている。だからそれらに感謝せずにいられない。こういう日本人の生き方を大切にしたいものですね。感謝の言葉にはきっと美しい花が咲いてゆくことでしょう。
合 掌
令和元年8月1日

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