最終更新日:平成30年2月5日









次回 「立夏投句箱開き」は平成30年5月5日(土)に行います
境内を吟行していただき、ふるってご参加ください。










道 具(どうぐ)

 用具、器具、家具、あるいは用品・・・これらはすべて「道具」から派生してうまれたことばといっていいでしょう。この道具は、純粋な仏教用語。元来は、修行僧が仏修行のために持ち歩く用を指して用いられた言葉です。
 古代のインドで修行僧が一人当たり持ち歩くことを許されたのは、
三衣(さんね)」「六物(ろくもつ)」「十八物(じゅうはちもつ)」「百一物(ひゃくいちもつ)」とよばれるものだけに限られていました。
 しかし、個人が私有を許されたのは「三衣一鉢(さんねいっぱつ)」。つまり、日常生活用、僧堂内用、托鉢(たくはつ)用の三種類の袈裟(けさ)と、一つの鉢だけでした。尼僧の場合にはこれに二衣が加わります。

 では六物とは何でしょうか。三衣一鉢に、座具と、水中の虫などを飲み込まないように水を()漉水嚢(ろくすいのう)を加えます。さらに、十八物となると、以上の三衣、鉢、座具、漉水嚢に、楊枝(ようじ)、手洗いのために大豆や小豆(あずき)で作った洗剤、水瓶(みずがめ)錫杖(しゃくじょう)香炉(こうろ)手巾(しゅきん)剃髪(ていはつ)や爪切りのための小刀、火打ち石、鼻毛抜き、縄床(じょうしょう)(携帯用椅子)、経典、律の要項を書いた戒本、仏像、菩薩(ぼさつ)が加わります。考えてみるとけっこうな大荷物になりますね。

 では百一物とは何か。これは、今までにあげた物やそれ以外の生活用具を各人一個ずつ蓄えることが許されているという意味で、百はたくさんのもの、といった程度の意味でしかありません。
 それ以上の余分なものは「長物(ちょうもつ)」。邪魔で役に立たない物のたとえとして、「無用の長物(ちょうぶつ)」という言葉がありますが、語源はここに求めることができます。物が氾濫する現代に生きている私たちは、改めてお釈迦さまの時代の道具という言葉をかみしめてみる必要があるのではないでしょうか。
合 掌
平成30年2月1日
主婦と生活社 「仏教のことば 早わかり事典」ひろさちや監修 より

これまでの『今月のことば』はこちらからどうぞ