最終更新日:平成30年10月2日









以心伝心(いしんでんしん)

 夫婦や親子あるいは恋人同士の間では、おおかたが以心伝心の間柄でありますし、また新密度が高いことをそのように表現しますね。言葉を交わさないでも、心から心へ直に伝わるということは実にすばらしいことです。以心伝心とは、文字通り心から心に直接つたわることです。
 文字や経典によらず、仏法を師匠から直に弟子に伝える__別の言い方をすれば教外別伝(きょうげべつでん)不立文字(ふりゅうもんじ)であります。

 文字(づら)拘泥(こうでい)したり、人の言葉のあげ足をとって理屈を言っているうちは本物は伝わりません。文字や音声は人にものを伝える手段にしかすぎません。行間(ぎょうかん)や無言の部分にこそ本物があると言えましょう。指さす指は手段です。手段としての指をみるのではなく、指のその先をみなければなりません。本を読むときは何も印刷されていない行間を読むようにいたしましょう。また話している相手の言葉が気になったら「本当はこう言いたかったんだろうな」と気持ちを察してあげましょう。そうすればきっと、誤解を招いてお互いに気まずくなるようなことはなくなるでしょう。
 手段を超越して相手の心がじかに伝わるためには、自分の心がすなおでなくてはなりません。心の鏡がゆがんでいると、みんなゆがんで(うつ)ります。真如の姿がそのまま映るような鏡にしておきたいものですね。

 心をきれいにする方法は止観座禅(しかんざぜん)がいちばんよいでしょう。理屈をいうのをしばし止めてただ坐ってみましょう。正師について止観座禅(しかんざぜん)すれば正真正銘の以心伝心となるかもしれません。
合 掌
平成30年10月1日

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